これからネット販売を始めるにあたり何が必要になるのか?社内に詳しい社員がいない場合は、開業までに随分と時間がかかってしまいそうですよね。
実はネット販売を始めるにあたり、機材や設備等のハード面を準備して開業することは簡単です。
しかし見込み客を集客し売れるようにするためにはそのための戦略(無形ソフト面)をしっかりと準備する必要があります。
何も考えないでネット販売を始めるとお客さんも集まりませんし、商品も買ってもらえません。
しかし開業前に必要なものをソフト面、ハード面の両面から準備をしてから立ち上げることで、回り道をすることなく最短でネット販売で良い結果を出す事ができます。
そこでこのページでは、ネット販売に必要となる機材や設備等のハード面と集客したり売るために必要となる戦略や仕組み構築等のソフト面の両方から、ネット販売で成功するために必要なものを詳しくお伝えしていきます。
目次
ハード面で必要となるもの
まずはネット販売のために必要なものをハード面からお伝えします。
たくさんあるにはありますが、これらを揃えて開業すること自体はとても簡単です。
それではひとつずつ説明していきます。
ネット販売のためのシステム
ネットで商品を販売するためには、そのためのWEBサイトが必要になります。
あなたがお客さんの立場で買い物をする時に見ている色んな通販ショップのページそのものですね。
そしてネット販売用のWEBサイトには、通常のWEBサイトと異なり、商品を紹介するページや商品を購入する際にクリックすると表示されるショッピングカートが付随しています。
自社でネット販売を行う場合には、そのショッピングカートが付いているWEBサイトが必要になります。
ショッピングカートが付いていないWEBサイトで注文をもらうこともできますが、その場合は、電話やメールでその都度お客さんとやり取りをして売買契約を交わすことになりますので、作業が煩雑になり良い方法とは言えません。
方法として一般的なのは、次の2つです。
- ショッピングカート付きのWEBサイトをレンタルする
- 楽天市場、Amazon等のモールに出店する
これ以外にも、自社内で独自にネット販売用のWEBサイトを開発するというような方法もありますが、かなりのコストがかかりますのであまり一般的ではありません。
1.のショッピングカートをレンタルしてネット販売するサイトの事を、自社ECサイトと呼ばれます。
モール出店にするか、自社ECサイトにするのかは、それぞれ特徴が異なりますので、自社に最適な方を選んで、ネット販売用のWEBサイトを構築していくことになります。
参考記事:自社ECサイト モールと比較した場合のメリット・デメリット
ドメイン(ドメイン名)、サーバー
これから初めてネット販売を行うという場合には、新たにドメインを取得しサーバースペースを準備する必要があります。
ドメイン(ドメイン名)は住所、サーバーは土地、とよく言われますが、ネット上の自社の通販店があっても、その住所と土地がなければ、自社のお店はネット上では表示されないんですね。そのため、必ずこのドメイン(ドメイン名)とサーバーは必要です。
ドメイン(ドメイン名)は、このブログで説明すると、https://netshop-marketing.org/ の「netshop-marketing.org」この部分のことです。
参考:ドメインとは?
サーバースペースとは、これから作成する自社通販サイトをWEB上に公開するための場所のことです。
先にお伝えしたショッピングカートシステムをレンタルする場合には、このドメインやサーバースペースも一緒にレンタルできるサービスも多いため、そのようなレンタルカートと契約してネット販売を行う場合には、ドメインの取得やサーバーのレンタルは別途行う必要はありません。
管理システム
ネット販売を行う上で、受注内容、顧客情報、商品情報等の管理を行う必要があります。
商品数やお客さんの数、取引の回数が増えるほどに、その管理が大変になってきますので、効率的に管理するために次のようなシステムが必要になります。
受注管理システム
受注を管理するためのものです。具体的には、「〇〇という人からから何月何日に〇〇という商品の購入があった」この情報を管理するためのシステムです。
このシステムがないと、いつ、誰から、何の商品を何個、注文が入ったのかがわかりません。
顧客管理システム
自社ネット販売サイトで、どんな人が商品を購入したのかを管理するシステムです。
具体的には、名前、住所、電話番号、性別、過去の購入履歴等々の情報を管理します。
ネット通販を行う場合、リピートして購入してもらうことがとても重要です。新規のお客さんに買ってもらうよりも既存客に買ってもらうことの方が簡単だからですね。リピーターが増えれば売り上げは伸びますし安定します。
そのためには、過去の購入客の分析、信頼関係の構築、販促施策を行うことが必要になりますので、顧客の詳細情報がどうしても必要になってきます。
つまりこの管理システムがないと、自社ネット販売サイトの売上を伸ばすため、そしてリピーターを育てるための分析、施策等を施すことが困難になってしまいます。
在庫管理システム
販売する商品の在庫を管理するシステムです。
特に商品数が多くなると在庫の管理が大変になってきます。
在庫がないのに売れてしまった等の事が頻繁に起こると、余計なお客さんへの対応時間も増えてしまいます。
またこのようなシステムがなく欠品した商品リストが一覧で見られない場合、商品の補充作業も非効率になると共にせっかくの販売機会を逃すことにもなります。
以上が、必要となる管理システムですが、例えば月に数件しか注文が入らない通販ショップの場合は、これらのシステムは不要です。しかしたくさん売れるようになってくるとこのようなシステムがないと管理ができなくなります。
余計な労力をかけないためにも、より売れる通販ショップにしていくためにも、これらのシステムが必要です。
ここで紹介した各管理システムは、それぞれ個別に準備してももちろん構いませんが、先に紹介したレンタルカートには、これらの管理システムも付属していることが多いため、レンタルカートでネット販売サイトを構築する場合には、別途、準備する必要はありません。
またモールに出店する場合でも、各モールに管理システムが用意されています。
決済システム
ネット販売するにあたり現在、様々な決済方法を選べる時代になりました。
代表的なものは、銀行振込、代金引換、後払い、クレジットカード等ですが、最近では携帯電話のキャリア決済や電子マネー決済等も増えてきています。
これらの決済を自社ネット販売サイトで使えるようにするためには、ショッピングカートとの紐づけが必要になってきます。
先にお伝えしたレンタルカートにもモールにもそれぞれそのシステムが付いています。
但しクレジットカード払いに等関しては、クレジットカード決済代行会社との契約が別途必要にある場合が多いです。
梱包資材
販売する商品を梱包するための資材です。
実店舗販売とは異なりネット販売の場合、取引先は日本全国になります(場合によっては海外も)。
取り扱う商品によっても異なりますが、お客さんのお手元に商品が届くまでの間、破損することがないようなしっかりとした梱包材を準備する必要があります。
また、使う梱包材ひとつとってもお客さんがそのお店を評価する基準の一つとなり得ます。
単に商品を守ることだけでなく少しでもお店に良い印象を持ってもらえるような梱包資材を選ぶことをおすすめ致します。
販売する商品
販売する商品がなければネット通販は成り立ちません。
また販売する商品の内容によってもお店の印象が変わりますし売れ行きも変わってきます。
その他の機材等
通販ショップの運営を行うにあたり次の機材が必要です。
パソコン/ネット接続環境
受発注管理、顧客対応等を快適に行うためには、それなりのスペックのパソコンを用意しましょう。
ノートパソコンでももちろん可能ですが、その場合、モニターやキーボードは別途用意する等の工夫をした方が作業がはかどります。
またネット接続が遅いのも仕事がはかどらない原因になりますので、早い回線速度で仕事できる環境を準備しましょう。
カメラ
お客さんは、ネット販売される商品の実物を見る事ができませんので、掲載写真は大きな意味を持ちます。
商品写真がぼやけていたり、色が悪かったりすると、そのことが原因で買ってもらえません。
また、掲載する商品写真の色や質感が実物と違い過ぎていた場合、トラブルにもなりかねません。
それなりのクオリティの写真が撮れるカメラを用意しましょう。
最近はスマートホンのカメラも高品質な写真を撮る事ができますので、それでも構いません。
プリンター
購入者へ発送する商品に同封する納品書等の書類の印刷に必要です。
民生用機器で十分です。
最近では無線のプリンターもあります。
毎日パソコンの前で作業をすることを考えた場合、可能な限り配線は少ない方が仕事がはかどります。
これから新たにプリンターを購入するという場合には、配線不要の無線プリンターがおすすめです。
梱包に使う道具類
商品梱包の際に使うカッター、はさみ、テープ、緩衝材等の道具類です。
ショップ運営を続けるうちに自社に最も最適な道具が見つかっていきます。
緩衝材に関しては、商品によって不要な場合もあるかもしれませんが、もし使う場合には、商品と共にお客さんの目に見える部分になりますので、それなりの見た目を考えた上で選ぶことをおすすめ致します。
ソフトウェア類
画像編集ソフトや動画編集ソフトです。
ショップに掲載する商品画像やバナー、更には商品によっては動画での説明をした方がわかりやすい場合もあります。
これらすべて外部のデザイナーに依頼する場合には編集ソフトは不要ですが、自社の担当者が編集する場合には、必要になります。
無料のソフトでも十分ですが、どのソフトを使うにしてもそれなりには使いこなせるようにしておくと作業がスムーズです。
仕入れ先(ない場合)
法人の場合は、すでに取引業者が決まっているはずですので新たな開拓は不要です。また自社商品を直販する場合も不要です。
個人の場合、仕入れ先を開拓する必要があります。
配送会社
配送会社に関しては、すでに取引のあるところを使って問題ないと思います。
但し、これからネット販売を始めることで取引ボリュームが増える可能性があります。
少しでも条件のよい配送会社を改めて探すのも良いと思います。
更に、ネット販売するにあたり諸々の事情で自社で配送会社へ商品を持ち込むというケースもないとは言えません。
そういう意味では、会社の近くに営業所のある配送会社と契約しておいた方が便利とも言えます。
特定商取引に関するページ
ネット販売を行うにあたり、特定商取引法に基づく表記のの表記義務が法律で定められていますので、このページを必ず準備しましょう。
ソフト面で必要になるもの
ネット販売することのメリットとして、日本全国に商圏を広げられることが挙げられます。
自社で販売する商品を日本全国のお客さんに対して紹介できるわけです。
しかし同時にネット上にはたくさんのライバルが存在します。
その多くのライバルの中で自社の存在に気付いてもらい、ショップに来店してもらい、そして買ってもらうためには戦略が必要です。
単に通販サイトを作っただけでは、誰にも気づいてもらえません。
仮に気付いてもらえたとしても、山ほどあるライバル店と必ず比較されます。
買ってもらうためにはライバルと比較された時に自社を選んでもらう必要があるわけです。
多くの会社は、そのための戦略を立てることもなくいきなりネット販売をしようとするために結果が出せないのです。
そうならないために、何が必要なのかをこれからお伝えしていきます。
現状分析
ネット販売していく上で、まずは現在どのような状況にあるのかを把握しておかないと戦略の立てようがありません。
まずは、自社のお客さんとなり得る人たちは、どんな悩みや欲求を持っているのか?そして果たして自社の商品はその悩みや欲求に応えられるのか等を事前に調査します。
例えばこれからネット販売しようとしている商品の需要が全くない場合、どんなに頑張っても売れませんよね?
需要があっても少ししかない場合には、やっぱり少ししか売れません。
参考記事:【無料でできる】インターネットを活用した市場調査(キーワード調査)の事例と方法
また、ライバルとなり得る他店の情報も事前にある程度知っておく必要があります。
例えば、自社の商品と類似する商品が、自社よりもかなり安い価格で販売されていた場合、その場合、やはり自社を選んではもらえません。自社を選んでもらうためには、他社の強みを知り、その上で自社を選んでもらうためにはどうすればよいのかを考える必要があります。
このような理由から、まずは市場や競合他社を調査し現状分析を行いましょう。
商品を売るための戦略
ある程度、現在の状況が把握出来たら、どうやって自社商品を売れるようにしていくのかを検討します。
商品を売るための戦略策定です。
この時のポイントは、自社通販ショップが競合する他社ショップと比較された時にお客さんに選んでもらうためにはどういう売り方をすればよいのかを考えることです。
具体的には自社のお客さんが、購入するお店を決める際の選定基準は何なのか?これを明確にしていきます。
事例として、私が運営代行しているネット販売サイトで、お客様に何故、自社サイトを選んで購入してくれたのかに関してアンケートを行った結果をお伝えします。
- 以前、問い合わせをした時に丁寧に自分の事のように親切に対応してくれたから買うのならこのお店で買おうと決めていた。
- 他のお店でも同じものを販売していたが、このお店の説明が一番わかりやすく詳しかったから。
- 発送方法や決済方法等の説明がわかりやすく迷わなかったから。
- 本当は他の商品を買おうと思ってネットサーフィンしていたが、このお店の店長さんの詳しい説明で、この商品の方が自分には向いていると思ったから。
- 他のお店では手に入らない、しかも良い商品だったから。
これの結果をもとに、自社商品を選んでもらうための対策案としては、次のようなことが考えられます。
- 問い合わせをくれたお客様には、出来るだけ迅速に、しかし丁寧に親身になって相談に乗る、悩みがあれば解決策を一緒になって模索する。悩みを解消できるような最適な商品があれば、その商品をお薦めする。
- 自社のショップで紹介している商品は、自分の言葉で丁寧に説明する。何故その商品をお薦めしているのか、どんな方にお薦めできる商品なのか、どのように使うと良い商品なのか等々自分のオリジナルの言葉で丁寧に。
- 初めて自社のお店に来てくれたお客様が迷わないように、発送方法、決済、送料等々、わかりやすいところにわかりやすく掲載する。
- その商品を買おうとしている人が実際に購入した時に、「失敗した、、」とならないようにどんな人に向いているのかをしっかりと書く。もしかしたら別の商品の方がそのお客様には向いている場合があれば、それについても具体的に書いておいてあげる。
- 自社独自の強みを反映させた商品やサービスを設計する。
これは私が運営代行を行っている「技術力」「接客力」「商品力」に強みを持つ会社の通販サイトでの事例ですが、会社によってその強みや商売をしていくポジションは異なります。
まずは先に行った競合調査を参考に自社の強みを明確にしましょう。
例えば、この「技術力」「接客力」「商品力」の他にも、
- アフターサービス
- 納期
- 材料
- 提案力
- 客層
- 材料
- 改良
etc…
様々な観点から自社の強みとなり得るものを明確にして、そこをお客さんに訴求していかなければ、選んでもらえません。
競合調査以外にも是非とも実践してほしいことは、既存のお客さんに自社の強みを聞いてみることです。先ほどの事例のようなアンケートを自社のお客さんに対して行ってください。
「何故、自社と取引をしてくれたのか?」
「何故、自社と取引を継続してくれているのか?」
自社を選んでくれた理由を、お客さんに聞いてみて下さい。
そのようにして自社の強みを明確にして、たくさんの競合があるなかでどのポジションで誰をターゲットに商売をしてくのかを明確にする必要があります。
集客の仕組み
自社の強みが決まり、お客さんに自社を選んでもらえる理由も明確になったら、次にその強みに共感してくれるお客さん(ターゲット)を自社通販サイトに集客するための仕組みづくりが必要になります。
先にお伝えした通り、ネット販売のためのショップを作っただけでは、お客さんは自社の存在に気付いてさえくれません。
そのため別途、集客のための対策が必要になってきます。
広告を使うという方法ももちろんありますが、効果的に広告で集客するためには最適化するためのコストもかかります。
少し時間はかかりますが、検索エンジン経由での集客の仕組みを構築できればそれは会社の資産となります。是非ともチャレンジしてみて下さい。
そして、せっかく自社通販サイトを訪問してくれた見込み客に対して、何かしらのアクションをしてもらうための仕組みも施しておいてください。
このような仕組みがないと、ショップに来てくれたお客さんはすぐに他のサイトに移動してしまい、その見込み客との関係性が継続できないからです。
つまりは、見込み客が最初に自社通販サイトへ来てくれた時(最初の接点)に、見込み客のメールアドレスを教えてもらえるような仕組みを作っておくのです。
参考記事:フロントエンドで売れるネット販売の仕組みを構築しよう!
そのためには、先ほど決まった自社の強みに共感してくれるようなお客さんが、ショップのページを見た瞬間に、「このショップ、私のためのショップだ!」「このショップは後でもう1回チェックしたい、ブックマークしておこう」と思ってもらえるように、ターゲットとなるお客さんの心に響くような文言を一番目立つ場所に掲載しておくことです。
見込み客との最初の接点(お客さんが最初に訪れるページ)は、TOPページだけではありません。どのページを見てもターゲットとなるお客さんの目に瞬間的に留まるように掲載して下さい。
ネット販売サイトは作ることよりも継続して売り続けることが重要
以上、このページではハード面、ソフト面の両方から、ネット販売に必要なものをお伝えしました。
ネット販売サイトは作って開業する事はとても簡単ですが、見込み客を集客して継続して売り続けることが難しいです。
但し、ここでお伝えしたようにしっかりと現状分析をして戦略を立てて進めることで、何故、集客できないのか、何故、売れないのかも明確になりますので、効率的に改善しながら成功に近づける事ができます。
是非ここでお伝えした内容を理解して御社でも実践して頂ければ幸いです。
外部の専門家に頼るほど予算に余裕のない小規模事業者様を対象に自社内にWEB集客~商品販売/契約獲得のための仕組みを構築できるWEB担当者を育成するためのサポートに力を入れている。これからはどんな業種であっても小さな会社であってもWEBを有効活用して自社収益を拡大するための最低限の知識は持つべきであるという考えのもと活動している。