飲食店のネット集客のページでもお伝えしましたが、旅館やホテルでもやはり重要なのは、自社の強みを明確にしてターゲットにしっかりと訴求すること。そして売上を伸ばすため重要なことは、既存客の満足度をより高め、何度もリピートしてもらうことです。
現状、じゃらんや楽天トラベル等の外部の紹介サービスのみに集客を頼っている旅館やホテルは、その紹介料や手数料が負担になっているという話をよく耳にします。
それらのサービスに頼ることなく自社内にネット集客の仕組みを構築することで、その手数料等の負担を減らすことができます。
そして、既存のお客様に対してリピートしてもらう仕組みを構築することで、売上は安定していきます。
そこでこのページでは、外部の紹介サービスに頼らないネットを活用した集客方法と既存客の満足度を高めリピートしてもらい売上を伸ばすための方法について提案します。
目次
自社の強みの明確化
仮に検索エンジンで上位表示されたとしても、必ず競合する他の宿泊施設と比較されます。
これはじゃらんや楽天トラベル等で、宿を探しているお客さんの場合でも同様です。
そのため自社の強みを明確にして他社との差別化を図り、選んでもらうための理由を明確にしておかなければ予約にはつながりません。
まずは自社、競合、市場を調査(3C分析)し、自社は誰に対してどんな価値を提供していけばよいのか、どんなポジションでサービスを提供すべきなのかを明確にしましょう。
参考記事:自社の強みの見つけ方
例えば、宿泊客がホテルや旅館を選ぶ基準の代表的なものとして「料理」が挙げられますが、「料理」自体はどの宿泊施設でも当然、用意されています。
その中で自社の強みを明確にして、他社と差別化を図るためには、競合する他の宿泊施設と比べて自社の料理は何が違うのか、その特長を明確にしてをしっかりと訴求する必要があります。
当然、その特長には多くの人が共感できるものである必要がありますし、他社と被っていては自社独自の強みにはなりません。
そのためにも競合調査、市場調査は必要です。
但し、自社で提供できるものには当然ながら限りがあります。例えば料理ならば、新メニュー開発のための新たな投資をする余裕がある宿泊施設は多くないはずです。まずは現状あるものの中から強みを見つけることを行いましょう。そのための一番良い方法はお客さん、特には常連さんに聞くという方法です。
お客さんへのアンケートの実施
全ての宿泊客に対してのアンケート
自社独自の強みを明確にするために、お客さんには必ずアンケートを実施しましょう。
その際、次の2つの項目を必ず入れて下さい。
- 当旅館(ホテル)を予約する決め手となったのは何ですか?
- 予約の決め手になったものには、満足いただけましたか?
この2つの質問に答えてもらうことで、予約を検討しているお客さんは、果たして何に魅力を感じて期待をして予約をしてくれたのかがわかります。更に、その部分に満足できたのかどうかを確認することで、そのサービスの改善点を知ることができます。
仮に満足度が低い場合には、2回目以降の予約が期待できませんので、早々に改善を図ります。
このアンケートの内容は自社の資産となりますので、必ずしっかりと書いてもらうような工夫をしましょう。
例えば、チェックイン時、アンケート用紙をお渡しする際に、「アンケートに記入頂ければ、お帰りの際に、アンケートと引き換えにお土産を差し上げます。」のようにお伝えしておくことで、回答率が上がると共に、お土産をもらえるのならと丁寧に書いてもらえる確率が高まります。
常連さんへのアンケート
すでに複数回利用頂いているお客さんに対して、上記と同じ質問をするのは賢いやり方ではありません。
何度もリピートしてくれているからには、必ず理由があるはずです。その理由こそ、自社の強みに他なりません。
常連さんのアンケートには、次の項目を入れて下さい。
- 当旅館(ホテル)をリピートしてご利用頂いた理由をお教え下さい。
- 今後、当旅館(ホテル)に期待することをお教え下さい。
2の質問からは、その常連さんに次回以降も利用してもらうためのアイディアをもらう事ができるはずです。また、その期待する部分に応えることができるのであれば、改善後、そのお客様に連絡をする理由ができます。「先日のアンケートでご要望頂いておりました〇〇をご用意致しました。宜しければまたお越しください。」のように再訪を働きかけることも可能となるわけです。
調査結果を参考に自社の強みとターゲットを見極める
市場調査、競合調査、常連客へのアンケート結果を参考に自社の強みとターゲットを明確にしていきましょう。
ターゲットとなるお客さんは自社の強みに魅力を感じてくれるようなお客さんです。
そのお客さんを対象にネットから集客をしていきます。
現状、自社内にネット集客の仕組みがない場合、じゃらんや楽天トラベル等を利用して集客をしていくことになりますが、その場合でも、明確になった自社の強みをしっかりと訴求するようなプラン設計をしていくことで他の宿泊施設との違いを出すことが可能なはずです。
その際意識することは、自社の常連さんのようなお客さんから注目をされるようにプランを作ること。自社の強みをページでしっかりと訴求することです。
誰でもいいので予約してほしいという考えでページやプランを作成すると特長が不明瞭になり、宿泊を検討しているターゲットとなるお客さんの心に響きません。
× 誰でもいいので予約してほしいので多くの人が関心を持つような伝え方にしよう
〇 既存の常連さんと同じような人に予約してもらえるような伝え方をしよう
次の2点を意識してプランを設計してみましょう。
- 自社の強みが十分に活かせるプラン
- 自社のターゲットが喜んでくれるようなプラン
公式サイトで予約を受け付ける工夫を
そして、じゃらん等から集客する場合でも、そこにたどり着いたお客さんにできるだけ自社公式サイトの方から予約をしてもらえるような工夫をしましょう。
ネットで宿泊先を探して予約をするお客さんの行動を想像してもらえればわかると思いますが、多くのお客さんは、
- じゃらんや楽天トラベルでいくつかの候補となる宿泊先をピックアップ
- 気になる宿の公式サイトをチェック
- じゃらんに戻り、再度、複数の宿を比較
- また気になる宿の公式サイトをチェック
という動きを繰り返すお客さんがほとんどです。
このようなお客さんの行動は、ご自身がインターネットで何かを探す場合を思い出してもらうことで容易に想像ができるはずです。
つまり最初に見たページがじゃらんや楽天トラベルであったとしても、多くのお客さんはその宿泊施設の公式サイトでも確認するということがわかります。
その際、公式サイトの方から予約をしてもらえるような工夫をしておけば、外部の紹介サービスの手数料を軽減することが可能です。
例えば、次のような公式サイト限定のものを掲載しておくことで、公式サイトから予約をしてもらう確率が高まります。
- 公式サイトからの予約限定割引価格
- 公式サイトからの予約限定プラン
- 公式サイトからの予約限定ドリンクサービス
市場の需要を調査しネット集客の仕組みを構築する
市場の需要を調査することは自社の強みを明確にするための材料の一つになりますが、それ以外にも、自社独自でネット集客をしていくための参考材料としても必要になってきます。
具体的には、ネット集客の仕組みを作る際に使っていくキーワードの調査です。
自社のターゲットとなるお客さんが、どんな欲求を持っているのか?を調査し、関連するキーワードを抽出し、そのキーワードを使って公式サイト内にてコンテンツ(記事)を増やしていくことで、ネット上からターゲットとなるお客さんを集客していきます。
具体的な集客の仕組みの構築方法は次の記事を参考にして下さい。
参考記事:インターネットを活用した市場調査(キーワード調査)の事例と方法
自社のコンテンツ(記事)をできるだけ検索エンジン上位表示させるためにはポイントがあります。
次の記事で確認の上、実践して下さい。
※次の記事は、自社ECサイトや会社のWEBサイトを対象に書いていますが、旅館やホテルの公式サイトでも全く同じです。
ネットを活用しファンを増やし売上を伸ばすための方法提案
上で紹介したような方法でお客さんのネット集客の仕組みを構築するためには、最低でも半年~1年程度時間がかかります。
中々大変ではありますが、じゃらんや楽天トラベル等の外部紹介サービスに頼らないためには必須の仕組みです。
構築するのは少し大変ですが、仕組みができると、継続的にネットから見込み客を集客できるようになります。
このネット集客の仕組み構築作業と同時進行で、既存のお客さんを対象に売上を伸ばすための対策も実行していくべきです。
冒頭でもお伝えしましたが、商売をやる上で最も重要なことは、リピーターを増やすこと。
新規のお客さんを集客し顧客化するためには、かなりの労力を要します。
手っ取り早く売上を伸ばすためには、既存客への働きかけを行うのが一番です。
既存のお客様に大きな満足感を与え常連さんになってもらうことで、売上が安定していきます。
そして、常連さんとの関係性を深め満足度を高めることでネットからではなく常連さんの紹介という形で新規客を増やしていくことも可能です。
そこでここからは、ネットを活用し既存客に常連客になってもらい、満足度を高め新規客を紹介してもらうための方法について提案していきます。
活用するのは、メールもしくはLINE公式アカウントです。
LINEは外部のサービスですので、将来、LINEを使えなくなった場合の保険としてメールアドレスも同時にリストとして集めるようにして下さい。
但し、より高い効果を出すために現状LINE公式アカウントが最も適していますので、ここではLINE公式アカウントをフル活用して、既存客を常連客に変え、売上を安定させつつ常連さんの紹介という形で新規客を集客していく方法を提案します。
活用するツールは、LINE公式アカウントと自社WEBサイトです。
従来、既存客への働きかけは手書きの手紙が最良と言われていましたが、ここではあえてLINEを使いネット上でやりとりを行っていきます。
LINEをおすすめする理由は次の通りです。
昨今、PCよりもスマートホンの利用者が激増しています。スマートホンの中でもメールよりもLINEの利用者が圧倒的に多く、2019年版:スマートフォン利用者実態調査(MMD研究所)全国15~79歳男女へのアンケート結果によるとキャリアメールは3.2回、SMSは4.0回、LINEは10.2回送信するという結果が出ています。
更にマクロミルインターネット調査によると、10代~50代の80%以上が、そして60代以上も52.8%が利用しているという結果がでています。この記事を書いている私の周りの50代、60代の社長さんたちも皆使っています。
参考:LINE公式アカウント
従来のメールを使って既存客に一斉送信することはできますが、営業っぽいメールは反応が期待できませんし、そもそも送ったメールを見てくれるかどうかもわかりません。
しかしLINEであれば、届けたいタイミングでしかも確実にお客さんに伝えることができます。
このような理由から、ホテル、旅館のネット集客にもLINEアカウントは最適です。
既存客を常連客に変え、満足度を高め売上を安定させ新規客を獲得するための仕組み
既存客に対しては、更に高い頻度で来てもらえるように、そして友達を紹介してもらえるように働きかけをしていきたいところです。そのための仕組みを構築していきましょう。
顧客管理を徹底する
既存客に常連客になってもらうためには、各お客さんに対してできるだけきめ細やかな対応をしていく必要があります。
お客さんごとの性別、年齢、居住地、利用頻度、嗜好等、可能な限り細かく分類し、必要な時にその分類項目別に該当するお客さんのみをリストアップできるようにしておきましょう。
これはエクセル等で内製しても良いですし、専用の顧客管理ツールを使用しても構いません。
顧客リストは、自社の資産と言われますが、持っているだけでは意味がありません。
しっかりと資産を活用するためにも、使いやすいツールを導入しましょう。
ちなみにそのようなツールとは別途、LINE公式アカウントを普段使いのツールとして活用することで、より手間をかけず効果を上げていくことができるはずです。
常連客に対しては徹底的にえこひいきする
何度も利用してくれている常連客に対しては、その利用頻度を更に高め、新たな新規客を紹介してもらえるように徹底的に満足度をたかめるべきです。普通に対応していればまた来てくれるだろうという考えでいると、その常連さんの利用頻度を高めることはできません。そのため、こちら側から積極的に行動を起こしましょう。
常連さんの満足度を高めるためには、例えば毎回、
- 料理の中でおまけの一品をお付けする
- 部屋のグレードを無料でワンランクアップする
- 帰り際にお土産をお渡しする
等のことが考えられます。
毎回来るたびに特典を付けてもらえれば、特別感を感じられ、また来たいと思ってもらいやすくなります。
但し、ここで気を付けるべき点は、おまけとは思えないくらいの良質で満足度の高いものを差上げる必要があるという点です。
おまけ程度のおまけでは、常連客の満足度はそれほど上がりません。結果、友達を紹介したいとまではなりません。
通常のサービス、接客でもそうですが、お客様の期待以上を心がけましょう。
単価の高いおまけを付けると採算が取れないというお気持ちはよくわかりますが、再度利用頂ける、更には、友達も紹介してもらうための広告費と考えれば安いものです。
常連客にとって自分の生活の中になくてはならない楽しみ、癒しの場と認識してもらう
常連さんにとって、自社の宿泊施設が、年に何回かは楽しむためにもしくは癒されるために必ず利用したい自分にとって大切な場所と感じてもらえるように工夫しましょう。そのためには例えば、
- 閑散期のみ利用できる常連さん限定の「お風呂と食事」のチケット販売
- 閑散期に開催される常連さんのみ参加可能なインベント
- 近隣にお住いの常連さんに対して、予約が少ない日のミニイベント開催
- 閑散期に開催する新料理の試食会
- 日本酒が好きな常連さんに日本酒の試飲会
等々、アイディア次第で色々と考えられます。
閑散期でしたら、そもそも客足が落ちるわけですので、そのタイミングで常連さんに喜んでもらえるようなサービス、イベント、プラン等を実施し対応することは可能なはずです。
ただ何もせずにお客さんから予約が入るのを待つのではなく、閑散期こそ常連さんに楽しんでもらうための企画を考えましょう。
ところで、予約の少ない日を狙ってイベントを開催することが果たしてできるのかと思われるかもしれませんが、これがLINE公式アカウントを使うことで可能となります。
はがきの場合、常連さんのもとにその案内が到着するまでに数日かかります。またお送りしたはがきを見てもらえるかどうかもわかりません。またメールの場合、すぐに常連さんには届きますが、そのメールをすぐに見てもらえるかどうかはわかりません。
一方でLINEであれば、届けたいタイミングで常連さんに間違いなく届きますし、見てもらえる確率も大幅にアップします。
また、このLINEの機能の中に、お客さんの属性ごとにリストアップし、そのリストに対してのみ情報を届けることも可能です。
先ほどの案の中で「日本酒が好きな常連さんに日本酒の試飲会」がありましたが、顧客管理を徹底し日本酒が好きなお客さんをその情報の中で管理することで、このような特定の嗜好を持つ常連さんのみにLINEを使ってミニイベントの案内を出すことができるということです。
イベントの様子は自社公式サイトで写真付きで報告
常連さん限定のイベントを実施したら、必ずその時の様子を自社サイトのコンテンツ(記事)として写真やコメント付きで公開しましょう。動画を撮ってYouTube等にアップロードするのも良いですね。
自社公式サイトで開催したイベントの様子を掲載することで、参加いただいた常連さんに再度、連絡する理由ができます。そのイベントの様子を常連さんに見てもらうことで、更に常連さんに楽しんでもらうことができますし、次回も参加したいという気持ちにもなってもらいやすいです。
更にはそのイベントが掲載されているページを友達に見せて話のネタにしてくれるかもしれません。
ここで重要なのは、「次回は是非お友達も一緒にご参加ください。」「お友達も常連さん価格にてご参加いただけます。」という文言と共にLINEでその常連さんに連絡することです。
更には「初めて参加いただくお友達には、ドリンク一杯無料サービスさせて頂きます。」等の付加価値をプラスしてご案内することで新規客の紹介へとつなげやすくなります。
そして公式ホームページにイベントの様子を掲載することは他にもメリットがあります。
先ほどお伝えしましたが、新規のお客さんは、宿泊施設を選ぶ際に、必ず公式サイトをチェックするものです。つまり初めてのお客さんにもそのイベントの様子を見てもらうことができます。
そのページで楽しそうに笑っている常連さんの笑顔の写真等があることで安心感や期待感を持ってもらうことができます。
このようなイベントやサービスを公式サイト予約限定特典と結びつけることも可能です。
更に、検索エンジン対策のページで説明した通り、キーワードやタイトルに気を付けてページを作ることで検索エンジンからの見込み客の流入も期待できます。
常連さんにクロスセルして更に喜んでもらう
常連さん、つまりはファンになっているお客様は、「今度はどんな楽しみを提案してくれるのかな?」と期待してくれています。
そのようなお客様に対しては、積極的にクロスセル(追加注文)してもらいましょう。
※クロスセル
追加の商品を紹介して購入を促すこと。
例えばマクドナルドでしたら、「ハンバーガーと一緒にポテトもいかがですか?」がこれにあたります。
「常連さんに他の商品を売り込むようなことはしたくない。」とは思わないで下さい。
先ほどお伝えした通り、常連さんは新たな楽しみを提案してくれるのを待っています。
例えば、
- 珍しい銘柄の日本酒があるのですがいかがですか?
- 今回のコースには入っていないのですが、新鮮な鯵が入荷しました。追加でいかがですか?
- 地元で喜ばれる〇〇の販売を開始しました。お土産にいかがですか?
- 夕食の前に楽しめる晩酌セットを始めました。いかがですか?
等々、常連さんに対してのおまけを差し上げた上で、別途、是非試してもらいたいものを厳選して紹介することで、きっと追加注文頂けるはずです。
このような働きかけを行うことで、客単価も着実に上がっていきます。
まとめ
外部の紹介サービスに頼らないネットを活用した集客方法と既存客の満足度を高めリピートしてもらい売上を伸ばすための方法について提案致しました。
ネット集客の仕組みは時間がかかりますので、今すぐ始めるべきです。一方で常連さん向けのサービスやプラン等は今すぐに始められるものもあると思いますので、是非、参考にして頂きたいです。
外部の専門家に頼るほど予算に余裕のない小規模事業者様を対象に自社内にWEB集客~商品販売/契約獲得のための仕組みを構築できるWEB担当者を育成するためのサポートに力を入れている。これからはどんな業種であっても小さな会社であってもWEBを有効活用して自社収益を拡大するための最低限の知識は持つべきであるという考えのもと活動している。